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ギターリペア

難関突破!Martin HD-28リペア完了!

ギターリペア

先日、ネックとボディのジョイント部に問題のあったMartin HD-28の記事を掲載させていただきました。その後、リペア完了したギターをオーナー様に返却させていただき、とても温かいメッセージをいただきました。

樋口様

 先程よりリペアいただいたギターを奏でておりました。
言葉が中々浮かばないのですが、この世に誕生した時の本来の響きが46年の歳月を経てやっと実現したのかと感じています。それぞれの弦の響きが邪魔されず自然に共鳴し合っています。ネットで「ギター工房オデッセイ」を見つけて早9ケ月が流れましたが、樋口様のオペを受け、元気いっぱいに生まれ変わったギターに出会う事が出来ました。しかも難手術をクリアいただきました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
有難う御座いました。

詳細はこのギターのリペアファイルページをご参照ください。

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問題解決なるか?

ギターリペア

現在、兵庫県にお住まいのT.N.さんから、ご依頼いただいているMartin HD-28(1976年製)のリペアを行っています。リペア内容としてはネックリセットを含むトータルリペアです。

1986年頃、ネックリセットを実施したことはT.N.さんから伺っていましたが、今回ネックを取り外してみると、ネックとボディのジョイント部分がとんでもないことになっていることがわかりました。

こちらは今回ネックを取り外した直後の写真です。

少し接着剤が多い状態なのかな?と思ってジョイント部を見てみると・・・

何か、白っぽい丸棒がジョイント部に埋め込まれていることがわかりました。

このギターのネックリセットを行う上で、この丸棒を取り除かないとネック取り付け角度を調整することが出来ません。果たしてうまくいくんだろうか?と悩んだあげく、少しずつですが、丸棒を掘り出しては、ネックと同じ素材のマホガニ材を埋木しました。

そして、ボディ側のフィンガーボード接合部にも問題が・・・

一面、黒い何かで覆われています。
ネックとボディはジョイント部分と、このフィンガーボード部分で接合されているので、不要なものが挟まっているとネックとボディの一体化が阻害されて、ギター全体からの出音が出来ない状態になります。

リペア前にT.N.さんからは「音量が小さくなった」というコメントをいただいていましたので、今回のリペアではネックとボディの接合状態を改善して、ギターの一体化を図ることにしていました。そこで、この黒い膜状の物体を取り除くことにしました。

組成は何かは不明なのですが、接着系のものだと思われます。

トップ板にダメージを与えないように注意しながら、少しずつ取り除きました。

だいたい取り除けたところで、サンディングを行って、平坦を出しました。

長い時間がかかりましたが、本来のネック接合状態を復帰することが出来ました。これからネック取り付け角度、直線性を確認して、いよいよネック再接合を行います。

ギター本来の音色を取り戻してくれたらいいなぁ、と祈るような思いです。

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1000本目のリペアファイル

ギターリペア

工房ホームページのリペアファイルが1000を超えました。

ギターリペアのご依頼をいただいたお客様から掲載許可をいただいた分だけですが、やっぱり切り数字を超えると嬉しいなぁ、という気持ちとこれからも精進していかなくてはいけないという心が引き締まる思いがしています。

1000本という数字を超えたからと言って、私のギターリペアに対する姿勢は全く変わりませんし、もっとギターという楽器を追求していきたいという好奇心の方が勝ってきているのが今の正直な気持ちです。

これからも自分の目が見え、手が動き、音を聞くことのできる間は、この仕事を始めた当初の気持ちを思い出しながら歩いて行くつもりです。

これまで弊工房に関わってくださったお客様、取引先の皆様、応援や助言をいただいた方々に心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

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S.Yairi YD-304, YD-305リペア

ギターリペア

福岡県にお住まいのT.H.さんからS.Yairi YD-304とS.Yairi YD-305のリペアをご依頼をいただきました。

 

先日より両ギターを並行してリペアしており、下記は本日現在の進捗状況およびギターの様子です。

【YD-304】

ボディ内下部分のトーンバーが一本欠損しているため、スプルース材から新たに切り出し接着しました。

 ←欠損している部分(以前にリペアされた形跡があります)

 ←スプルース材を切り出しました

↓ トーンバー作製

  

↓ ジャッキとクランプで接着します。

 

↓ 固着したトーンバーです。

 

Xブレイシングに浮きが見られますのでこちらも接着補強しました。

 

↓ ジャッキで固定しています。

 

トップ板塗装のスクラッチや打痕跡をタッチアップしました。経年が進んでいるので完全消し去ることはできませんが、できる限り目立たなくしました。

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ネック裏側の塗装剥がれもタッチアップしました。

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【YD-305】

ブリッジにピン穴方向の割れが見られるため、ブリッジ交換を行いました。ピックガード交換も行いますので取り外しました。

 

エボニー材からブリッジを切り出します。

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↓ 切り出したブリッジを接着しました。

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サイドの打痕跡の凹みをボディ内からパッチ材接着により補強し、塗装タッチアップを行いました。

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コメントをいただき、ありがとうございます!

ありがとうございます!

ギターリペア お客様の声

今日、福岡県にお住まいのA.I.さんからリペア後のMartin D-28 customYAMAHA LA-38Jを受け取られて、とても暖かいメッセージが届きました。

(受け取りましたメッセージについてはリペアファイルのページに掲載させていただいておりますので、そちらをご参照ください)

今回のギターリペアのご依頼をいただいた際、A.I.さんからのメールに下記のコメントが添えられていました。

私がオデッセイさんを知ったのは、リペアファイル No.128の山本氏(ギター仲間)から御工房の事を聞いてからでした。
彼からリペア後の感激の声を聞き、またHPで他の皆様方のリペア後の喜びのコメントも拝見させていただき、自分自身も同様の感動を味わいたいと思った次第です。

リペアを行っている間は無心で、ただただギターの蘇った姿のイメージに集中して作業を進めているのですが、その結果に対してギターのオーナー様から暖かい評価を頂戴して、心から感謝している次第です。皆さん、本当にありがとうございます。

A.I.さんのケースではリペアのご予約を頂戴して2年半余りお待ちいただきました。もっと早くリペアが出来ればお待ちいただく期間を少しでも短くできるのですが、仕事に集中できる時間が限られており、ご予約を頂戴している皆様には本当に申し訳なく思っております。何卒、ご理解をいただけますよう、この場をお借りしてお願い申し上げます。

 

また今日は、静岡県にお住まいのM.K.さんからリペアご依頼を頂戴し、リペア完了したGibson L-00を送り出しました。このギターのリペアに取りかかる前に、M.K.さんとリペア方針について打ち合わせさせていただき、ご提案をご快諾いただいた次第です。

最近、進めば進むほど奥が深いギターリペアの世界をもっともっと知りたいという気持ちがわいてきています。これからも生涯の時間をギターの蘇りにかけていきたいと思っています。改めてよろしくお願いいたします。

 

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本当にありがとうございます!!!

ギターリペア 徒然日記

毎日、朝食後リペアの作業を始めます。寝る前に次の日のリペアが気になって工房部屋でギターと向かい合うこともあり、時には朝食前、朝日が昇る前から集中力を高めてギターに向かい合うこともあります。

そんな毎日を繰り返しながら、確実に成長している自分を感じています。

この職業に巡り会えたこと、私にギターのリペアを託してくれるオーナー様がいること、ギターが蘇ること、そしてそのギターに満足していただけること・・・皆様の暖かい支えのお陰で自分の力をお役に立てることに心から感謝しています。

私は自分がリペアを手がけた様子をホームページに掲載させていただいています(勿論オーナー様のご承諾をいただいてからです)。

今日もホームページを更新して、リペアファイルのシリアル番号(通しナンバー)が700に到達しました。

なにか、一つ階段を上ったような気がするのと、次の階段が見えているような気がしています。

自分の力の全てを出し切れる仕事のことを天職と呼ぶのであれば、まさに私にとってギターリペアは生涯の天職であることは間違いないと思います。

これからも技術を磨き、人間としても精進していく所存です。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

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G.A.L.季刊誌

ギターリペア ギター製作

先日、G.A.L.(Guild of American Lutherie)から季刊誌が届きました。

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この組織は約2年~3年ごとに学会、展示会を開催しており、今回の季刊誌には先回の学会でJohn Greven氏が発表したセッションが掲載されており、とても興味深く読みました。

GAL-2

この記事の他にもおもしろそうなものがあり、時間を見つけて読んでいる途中ですが、来年の夏、3年ぶりにアメリカでG.A.L.学会が開催されるとのことなので、参加できればいいなぁ、と思っています :)

GAL-1

 

 

 

 

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季刊誌が届きました

ギターリペア ギター製作 徒然日記

1年に4回発行されるアメリカの季刊誌”AMERICAN LUTHERIE”が届きました。

AMERIAN LUTHERIE

 

今回も興味をそそる記事がたくさん掲載されています(この冊子の特集版が先日購入したTHE BIG RED BOOKsです)。「記録に残す」ということは本当に大切なことだと思います。そしてそれが当たり前の文化であるのは素晴らしいことだなぁ、と思います。

 

 

 

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「年末までにやりたい」シリーズ(番外編)

ギターリペア ギター製作 徒然日記 ウクレレ製作 ZERO-ONE プロジェクト

家の倉庫入れ替え、火災警報器取り付け、そして工房部屋の床フローリングと続いてきた、この「年末までにやりたい」シリーズですが、今年の夏に特許事務所に依頼していた商標登録が完了して登録証が届きました。(予定より早く登録完了できました!)

登録商標は「ギター工房オデッセイ」で、商品・役務は「ギターの修理または保守」です。

 

そしてもう一つ・・・

今後、ギターやウクレレなどの楽器を製作・販売していく上での商標です。登録名は・・・

WoodField

です!

 

今年の6月、震災後の東北へ伺い、楽器製作のための思材(瓦礫)を収集させていただきました。そのとき、部材を探しながら登った瓦礫の山で見た光景・・・

 

自分たちが踏みしめているのは、数ヶ月前までは人々の暮らしを支え、一緒に息づいていた建物、家具が壊れた木材・・・

その中には暮らしのぬくもりを感じるものもありました。

私が見つけたのは、数枚の写真で、そこにはおじいちゃんとおばあちゃんが孫であろう、赤ちゃんをだっこしている姿、同じ赤ちゃんをお父さんとお母さんがだっこしている姿、みんな一緒に写っている姿、そして赤ちゃんのアップが写っていました。

「この方々は無事だったんだろうか」「どうかどこかの避難所で暮らしていて欲しい」と思うと、瓦礫の山の上にもかかわらず、止まらない涙があふれた目で見た、そのときの光景・・・

 

思材収集の時、お世話になったZERO-ONEプロジェクトの方からいただいた「私たちのことを忘れないで欲しい」という言葉・・・

 

そんな想いを込めて、現在製作中とこれから製作するのギターとウクレレの名前は

WoodField

とすることに決めた次第です(実際に特許庁に申請したのは今年7月でした)。

 

商標登録に当たっては是枝特許事務所の是枝様、スタッフのみなさま、そして私が会社員時代の知的財産部門だったT.N.さん、H.T.さんには大変お世話になりました。この場をお借りしてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

 

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仕事の節目

ギターリペア 徒然日記

今日はMartin D-28のリペア作業をリペアファイルに掲載しました。ここ数日間、ネック接合の強度確認を行うため負荷試験を行います。

最近、私はギターに限らず多くの木製品の木目がとても気になって、木目の数を数えてしまいます 8-O

木目は1年に一つずつ輪を重ねていくのですが、たとえばギターのトップ板の木目ははるかに私の年齢を超えています。

といことは、このトップ板の部材は私がこの世に生を受けた数十年前から存在していたということです(当たり前か・・・) :idea:

 

私も一つの命を持っています。そしてこのトップ板になってくれた木も遙か昔から命を持っていた・・・。

そう思うと木部材は大切にしないと・・・と強く思います。

 

消費の感覚を脱却することがとても大切なのではないでしょうか?

 

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