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10月2008

怖いおじさん

徒然日記

先日、久しぶりに日帰り温泉に行って来ました。大きな湯船でボ~~~ッとするのは、やっぱり最高です(笑)。

平日でしたので結構すいており、10人ほど入れる露天風呂を一人、貸し切り状態で満喫しながら、遠くに見える夕暮れの山と空を見ながら、「極楽!極楽!」と頭を空っぽにしていました。

しばらくすると、男の子3人が露天風呂へやってきました。3人兄弟のようで、小学校4年、2年、1年くらいのやんちゃ盛りな年頃です。私は20年くらい前の、自分の子供が小さい時(自分も若かった頃)を思い出していました。私の頭の中ではその3兄弟には太郎、次郎、三郎という名前をつけていました(笑)。
3人のお父さん(お爺ちゃん)はどうしたんだろうかなぁ、と3人を見ていると、次郎と三郎がいきなりバッシャ~~ンとお風呂に飛び込んで泳ぎ始めました。

さすがに太郎は言いました。
「おい!お前ら!泳ぐなっ!」

次郎と三郎はそんな太郎の気遣いを無視してキャッ、キャッと露天風呂の中で大はしゃぎしています。

太郎は更に言いました。
「お前らっ!泳ぐなって言うとるやろっ!」
だんだん太郎の声は大きくなっていきます。
「泳ぐなって言うとるやろっ!」

私はそれを見ながら「おい、おい!怪我せんようにな」、と誰かがひっくり返って頭でもぶつけはしないか、と冷や冷やしていました。

そうこうするうちに、3人とも露天風呂を離れ、屋内風呂に戻っていき、露天風呂は元の静けさに戻り、
「あぁ、けがせんでよかった!」とほっとして、またボォ~~~っとしていました。

 数分後、また3人が戻ってきました。
次郎と三郎はさっきよりハイテンションになっていて、露天風呂の縁の岩から、飛び込む!飛び込む!
私の顔も頭もびしょびしょになってしまいました。
「おいおい!ほんまに怪我せんといてな・・・」
という私の心配をよそに、二人は大はしゃぎです。太郎君もあきれ果てているようで、
そうこうするうちに、また3人は屋内風呂に戻っていき、一人貸し切りの静寂が戻りました。

「これは、なんぼなんでも危ないやろ~」と思ってお父さんかお爺ちゃんはどうしているんだろう、と思って屋内風呂をのぞいてみましたが、3人のハイテンは中でも続いており、親御さんらしき人は見えません。
まぁ、いいか、と露天風呂に戻って、また一人の静寂を楽しんでいると、

数分後

かなりエスカレートした次郎と三郎が露天風呂に再びやってきて、露天風呂に飛び込んでは潜り、飛び込んでは潜り、キャッキャッと大はしゃぎしています。その頃、私の頭は土砂降り状態になっていました。
太郎君がそれも見かねたのか、私に気を使ったのか、

「おい、おまえら、やめろっ!」

と二人の髪の毛を引っ張りながら、やめさせようとしています。
「それは、あんまりやろ~」と思いながら、私はじっと我慢していました。
彼らはいつもそういう生活を送っているのでしょう。髪の毛を引っ張られようと、頭を殴られようと、お構いなしにビシャビシャと大はしゃぎ状態です。

私は、自分の子供がそういう年代だった頃を思い出しながら、自分がこの3人の親ならどうするだろうなぁ、と顔にお湯のしぶきをかけられながら考えていました。
そういえば、私の家の教育方針は、第一段階は「諭す」、第二段階は「怒鳴る」、第三段階は「殴る」でした。
思い起こせば第三段階に突入したことはなかったなぁ、と思い出しながら、相変わらず、次郎と三郎のはしゃぎシャワーは私の顔や頭をびしょびしょにしています。

よし、今度飛び込んだら、諭してみよう!と決心した私は、じっと目をつぶって構えていました。「お風呂では静かにしようね」・・・う~~~ん、ちょっとやさしすぎるかなぁ、と諭す言葉を考えているうち、彼らはまた屋内風呂に戻っていってしまい、露天風呂の静寂が戻ってきました。

数分後、今度は次郎と三郎君が露天風呂に戻ってきました。
本日最高のハイテンションです!
私は、今度顔にお湯がかかったら、一言声をかけようと、構えていました。

が、なかなかこちらにお湯がかかりません。

と、そのとき、バッシャーンと私の頭と顔を彼らの飛び込んだしぶきが襲ったのです。

「おぉいっ、お前らぁ、ええかげんにせんかぁい!風呂で暴れるなぁ!」

と自分でも予想外の大きな声を出してしまいました。
次郎君と三郎君は、よほどおどろいたのか、目をまん丸くして、私の方をじ~~っと見ながら、クビを縦に振っています。
私は心の中で「しまった!言い過ぎてしもうた!ごめん!」と思ったのですが、そのまま何も言わずに目を閉じて湯船に浸かっていました。

次郎君と三郎君はそろ~~っと、屋内風呂に戻っていくのを、薄目を空けて見ていました。

私はしばらくして、彼らがどうしているか心配になって、体を洗いに行くふりをして屋内風呂に入っていきました。
すると、次郎君と三郎君は、太郎兄ちゃんの後を静かに歩いていました。

体を洗った後、再び露天風呂に戻ってぬくもりながら、自分の言動を反省していました。
もう少し、優しく諭すべきだった、
いやいや、あの状態で、一番の特効薬やった、
などなど、考えましたが、結局、「他人に怒られないとわからないことを、私は彼らに教えたんだ」と自己正当化する結論に至りました。

温泉から帰りの車の中で、家内にその出来事の始終を話しながら帰宅しました。
家内も、「世の中には怖いおじさんがおる、ということを教えたのはいいんとちゃう?」と笑いながら、私の言動は否定されませんでした。
よかった、よかった!(笑)

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