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11月2022

問題解決なるか?

ギターリペア

現在、兵庫県にお住まいのT.N.さんから、ご依頼いただいているMartin HD-28(1976年製)のリペアを行っています。リペア内容としてはネックリセットを含むトータルリペアです。

1986年頃、ネックリセットを実施したことはT.N.さんから伺っていましたが、今回ネックを取り外してみると、ネックとボディのジョイント部分がとんでもないことになっていることがわかりました。

こちらは今回ネックを取り外した直後の写真です。

少し接着剤が多い状態なのかな?と思ってジョイント部を見てみると・・・

何か、白っぽい丸棒がジョイント部に埋め込まれていることがわかりました。

このギターのネックリセットを行う上で、この丸棒を取り除かないとネック取り付け角度を調整することが出来ません。果たしてうまくいくんだろうか?と悩んだあげく、少しずつですが、丸棒を掘り出しては、ネックと同じ素材のマホガニ材を埋木しました。

そして、ボディ側のフィンガーボード接合部にも問題が・・・

一面、黒い何かで覆われています。
ネックとボディはジョイント部分と、このフィンガーボード部分で接合されているので、不要なものが挟まっているとネックとボディの一体化が阻害されて、ギター全体からの出音が出来ない状態になります。

リペア前にT.N.さんからは「音量が小さくなった」というコメントをいただいていましたので、今回のリペアではネックとボディの接合状態を改善して、ギターの一体化を図ることにしていました。そこで、この黒い膜状の物体を取り除くことにしました。

組成は何かは不明なのですが、接着系のものだと思われます。

トップ板にダメージを与えないように注意しながら、少しずつ取り除きました。

だいたい取り除けたところで、サンディングを行って、平坦を出しました。

長い時間がかかりましたが、本来のネック接合状態を復帰することが出来ました。これからネック取り付け角度、直線性を確認して、いよいよネック再接合を行います。

ギター本来の音色を取り戻してくれたらいいなぁ、と祈るような思いです。

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